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なんて素敵にジャパネスク問わずがたり

- 高彬と瑠璃の二次小説 -

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更新情報




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NEW‼
04/25、ぶっとびパラレルシリーズ『intoccabile ―侵すべからざる者― case15』アップしました♪  
☆タイトルをクリックして頂くと、そのまま記事に飛べます☆
 





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お知らせ※※新たに小話付き拍手機能を設置しました!※※





2016.10.10


玉響女です。



ブログ内の各記事に、新たに、小話付き拍手ボタンを設置いたしました♪

こちらの機能、実は先日の三種年記念の際に設置しようと思っていて間に合わなかったものです。


新たな小話付き拍手ボタンは記事ごとに設置されていて、いつも皆さまがクリックして下さるピンクボタンの下にある、グレーまたは白色の拍手ボタンになります。(<➡拍手SSはこちらをクリック♡>と書いてあるボタンです)



従来のピンクボタンと違い、こちらはクリックをして頂くと小話がお読み頂ける機能になっていて(画面左にあるサイドバー小話と同じ機能です)、今現在、三種類の記事を置いてあります。
記事の設定はランダムになっていますので、色々な記事の白ボタンを押して頂くか、一つの記事で全部ご覧になりたいという場合は、小話の乗っている記事の一番下、「もっと送る」ボタンを押して頂ければ、次のお話に進めるようになっています。


今置いてあるお話は、


〇藤原管理官(キャリア)と三条巡査(ノンキャリア)のサイアクな出会いから始まる『刑事編』。
〇記念イベントの際に皆様にご投票いただいた『高彬に言って欲しいセリフシリーズ』。
〇管理人の描いたイラストに、既存のお話の一部を抜粋して載せた『挿絵編』。


この三種類になっております。
ラインナップはその都度変わります。


実は、ちゃんと一話に仕上げるには手間がかかる、だけどこのままお蔵入りも勿体ない、そんなメモ書き程度のお話がいくつかあって、それを活かすのにちょうどいいかも☆ということで、この小話拍手を新しく設置することにしたのでした。

ですので、こちらのお話は、基本、短い&気軽なものになる予定、です。(もしかしたら、あまり一般的ではないシリアス物をこちらに置くかもしれませんが)


更新は不定期ですので、定期的に覗いてみて下さいね♡


そして、申し訳ないのですが、一つお願いがありまして・・・・・


従来の拍手ボタン(ピンクの方)は、文字通り、純粋な拍手機能のみのボタンですので、各お話の人気を私が把握するのに、やはりとてもありがたい機能なんです。
拍手の数で読者の皆様がお好みになるお話の傾向もだいたい分かりますし、それが今後どんなお話を書くか、という予定に少なからず影響するので、純粋に皆さまがどんなお話が好まれるのかということを測るための有力なバロメーターとして、これからもピンクボタンを活用していきたいと思っています。

ですので、、


ブログ記事としてアップした本記事を楽しんで頂けた場合は、従来通りピンクボタンをクリックして頂き、
小話をお読みになりたいという場合は、新たに設置した白ボタンをクリックして頂く、


ご面倒は承知ですが、そのように、読者の皆様にも拍手ボタンを使い分けて頂けると、とってもありがたいのです。


注文が多くて申し訳ないのですが、そんな意図があるんだな、とご理解いただき、ピンクと白、二つの拍手ボタンを使い分けて頂けると嬉しいです♡
よろしくお願い致します。


こちらのサイドバーWEB拍手も、今まで通りおいておきます♡



画面左のサイドバーに、「WEB拍手」を設置しました。

クリックをして頂くと、ちょっとした小話がお楽しみ頂けます。
今は、お互いに両思いでありながら鷹男のもとへと入内しなくてはならない瑠璃とただ一度の逢瀬を持ち、遠くから瑠璃を見守るしかできない高彬の切なさ100%のお話なので、苦手な方はお気を付け下さい。

興味を持たれた方は、どうぞ覗いてみて下さい。


新たに増えたお話機能も合わせて、『なんて素敵にジャパネスク問わずがたり』をより一層お楽しみ頂けると嬉しいです♡


玉響女


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管理人からのご挨拶※必ずお読み下さい

初めまして。

この度は、ご訪問頂きありがとうございます。
当ブログの管理人、玉響女(たまゆらめ)と申します。

「なんて素敵にジャパネスク」、この作品と出会ったのはもうずいぶん前のことです。
本当に大好きで、多感な時期にひたすらどっぷり浸かりました。
大人になって、何年か離れた時期も当然あったのですが、常に心のどこかにあり、しばらくするとまた立ち戻り読み返す、そんな事を繰り返して現在に至っています。

今読み返すと、あの頃には気付かなかった新たな発見があったり、多少は経験を積んでそれゆえにとてもリアルに感じられる描写があったりして、そんな風に考えたり感じたりしたさまざまなことを、せっかくなら書き留めておこうと思い立った次第です。

そのうちに、二次小説もアップしたいなぁと考えております。

ブログの記事をお読み頂く前に、以下の事をご了承ください。

※管理人はコミックも全巻揃えていますが、このブログでは主に原作について語っていく予定です。

※当ブログ内の記事は、全てネタバレの可能性を含みます。
お読みになる際は、その点を念頭におき、ご自身の判断でお読みください。
読後のクレームは受け付けておりません。

※管理人の個人的な感想、想像、分析、妄想がメインのブログです。
時には偏った意見に感じられることもあるかもしれませんが、その点をご了承頂き、あくまでも一意見としてお読み下さいますよう、お願い致します。

※コメントは承認制です。
管理人が不適切だと判断したコメントは、予告なくそのまま削除させて頂くことがございます。

※当ブログはリンクフリーではございません。
リンクをご希望される場合は、ご連絡下さるようにお願い致します。
ブログの内容によっては、ご希望に添えないこともございますことをご了承願います。

※当ブログ内の文章は、無断で転用なさらないようにお願い致します。

※当ブログは、原作者さまや出版社さまとは一切関係がございません。


2015/01/07追記:
※コメントは、非公開で頂いた場合には、イニシャルでお返事を掲載させて頂いております。管理人からの返信は不要、という場合は、コメント内にその旨をお書き下さいますよう、お願い致します。




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カテゴリ説明

二次小説は、大まかに「子供時代」「結婚前」「結婚後」の三種類に分けてあります。
「子供時代」と「結婚前」は線引きが難しいのですが、一応、高彬の元服をボーダーラインにしてあります。

それぞれのお話は、サイドバーの「カテゴリ」から入って頂くと、同じ内容をまとめてお読み頂けます。
もしくは、この記事内のお話のタイトルから、該当記事に飛ぶことができます。





※2015/09/15 カテゴリ説明・大幅改定致しました※


だいぶお話の数が増えたのと、ここのところご新規で訪れて下さる方々が多いようなので、カテゴリ説明を大幅に改定させて頂きました。
より詳しく、さらにタイトルをクリックして頂ければ、そのまま該当記事に飛ぶことができるようにしました。

カテゴリが変わったお話がございますので、以前からお楽しみ下さっている皆さまもよろしければご一読下さいませ。



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intoccabile ―侵すべからざる者― case15




【このお話は、その名も『ぶっ飛びパラレルシリーズ』と題した、かなりぶっ飛んだ設定のシリーズです】

今回の設定は、


※瑠璃さんも高彬も、軍人です。

※時代背景は、現代と明治大正辺りのレトロな時代のいいとこ取り、といったイメージです。
架空の日本の、架空の軍隊の話、といった感じで、ゆるくお読みいただけると嬉しいです。

※二人ともエリート将校です。
そして一応、形式上は瑠璃さんが高彬の上官になります。でも、能力は高彬のほうが上。そんな感じの関係です。

※隊内で事件が起こり、その真相を調査する内部調査官みたいな役職です。
担当官は、瑠璃さんと高彬と尚周くんの三人です。
(ただし、高彬は前回までの話の中で他部署に異動になっています)


大まかに、こんな所です。
そういうパラレル設定がお好きでない方はご注意下さい。
また、今回のお話はセクシャルな雰囲気の描写があります。
それほどあからさまではありませんが、苦手な方はお気を付け下さい。

また、前回の更新からかなり間が空いているので、お話を忘れてしまった方、また初めてこのシリーズをお読みになる方は、以下のリンクからこれまでのお話をお読み下さい。↓



『ぶっ飛びパラレルシリーズ』





永遠に続くかのような緩慢な時間はようやく終わりを告げ、開放感に満ちたざわめきの中を、上官たちが三々五々に会議室を後にする。


「三条中尉っ…」


体格の良い人々の波影に隠れて今にも見失いそうになる華奢な後ろ姿に駆け寄り、周りに気付かれぬよう、一瞬だけ、無防備な白い指にそっと自分の指を絡める。
指先が触れた瞬間、瑠璃さんは、まるで電流が走り抜けたようにビクッと背中を震わせた。

弾かれたようにこちらを振り仰ぐ潤んだ瞳と、視線が重なる。
切なげに歪んだ水気の多い瞳の中には、確かにぼくの姿だけが映っている。

瑠璃さんの中に閉じ込められた自分自身の姿を酔いしれたように見つめながら、ぼくは、喉の奥から掠れた声を絞り出した。


「…どうして、何も言って下さらないのですか。三条中尉」


あたかも内々の打ち合わせをしているかのような平静な顔でそっと身を屈めて、形の良い白い耳朶に問いかける。
瑠璃さんは、触れるほど近くでぼくの目を見つめながら戸惑ったように黒目を揺らして――

次の瞬間、ハッとしたように周囲に視線を走らせた。

室内には、まだ大勢のひとの気配が溢れている。
部屋の外へと緩やかに流れていく人波から外れて立ち止まるぼくたちを、時おり、訝しげな視線がゆっくりと撫でながら通り過ぎて行った。


「――三条くん?」
「はい」


不意に名前を呼ばれ、瑠璃さんは見事なほど一瞬で恋人の顔を脱ぎ捨てた。
そのまま、まるで別人のように機敏な動作でドアの脇に立ち止まる上官に向き直る。


「取り込み中かね?」
「――いえ。問題ありません。何かご用でしょうか」


キビキビと歯切れのよい返答を聞きながら、上官と話し込むほっそりとした後ろ姿をじっと見つめる。


分かってる。ここは仕事の場だ。
しかも数多の上官たちの目がある、この上なくオフィシャルな。

正しいのは瑠璃さんだ。
厳然たるべき公と私の境界をなし崩しにしようとしているぼくが間違っている。それは分かってる。

だけど、どうしても気持ちが抑えられない。

いくら一月(ひとつき)もの長い間、触れることはおろか顔を見ることもできなかったとは言え、まさかこれほどまでに我慢が効かなくなるとは思ってもいなかった。

――いい加減にしろよ。おまえは一体いくつなんだ。
まるで初めて恋を覚えた少年のように聞き分けのない自分自身に、場所柄も忘れて思わず舌打ちしそうになる。

気を紛らわせるためにぞんざいに辺りに視線を流すと、縦に長い木枠の窓越しに差し込む冬の西日が、まるで切り絵のように明確な輪郭を描いて部屋の一部を切り取っている。
光と影とが明瞭に別たれた眩しさに、思わず両目を細めた。

これまでだって、こんなことは幾度かあった。
秘匿性の高い任務や、今回のように海外出張の仕事が入れば、それこそ半年近くも満足に会えないことだって何度もあったのだ。
それでも、こんな風に情欲が理性をあっさりと飛び越えて、居ても立ってもいられないほどに相手を欲したことなど、ただの一度もない。

自分で自分のコントロールが効かない。こんなことは初めてだ。
誰よりも、ぼくは自分を律するのが得意だったはずなのに。

一目で恋に落ちたときから、目の前のこのひとに、本当にどうしようもないほど心ごと囚われている、その自覚はあった。
だけど。
狂おしいほどに恋い焦がれたあの心も体もようやくこの手にして、このひとのただ一人の恋人となって。
それでもなお、未だこれほどまでに心の均衡を失ったまま平静を保てずにいるなんて。

思い通りにならない自分自身に苛立ちばかりが募って、ぼくは乱暴に溜め息を吐いた。


「――じゃ、頼んだよ」
「はい。後ほどお届けに上がります」


会話の途切れた気配に、ハッと顔を上げる。
上官に向けて綺麗な所作で頭を下げると、瑠璃さんは、そのままこちらを振り向くことなく、微塵も迷いの感じられない実に自然な身のこなしで、部屋の外に向けて歩いて行ってしまった。


艶のある綺麗な黒い髪が、少し動きに遅れてふわりと空を舞う。


それを視界に捕らえた瞬間、カッと頭に血が昇り、ぼくはその後ろ姿を追って、大股でその場を歩き出した。




****   ****   ****   ****   ****   ****   



涼しい顔をして会議室を後にする華奢な後姿を、西日の射す、薄暗い廊下で追い詰めた。



「……たかあきらッ、ちょっと待って…」
「……無理だ。一ヶ月も逢えなかったのに…」
「だからってっ…!」


低く押し殺した自身の声と苦しげに反論する甘い声が、隠微な響きを伴って長い廊下にこだまする。
一瞬の解放に無意識に安堵した憎らしい唇を、もう一度容赦なく掠め取ると、瑠璃さんは、切なげにしかめた瞳を驚いたよう見開いた。


「んっ!んんぅ…」


窓辺から差し込む頼りなげな夕陽が、華奢な肩に流れる綺麗な黒髪を妖しく染めてゆく。
いつの間にか、固く閉じられた瞼には透明な涙が浮かび、それさえも、微かな光を反射してまるで真珠のようなきらめきを放ちながら、無自覚にぼくを誘惑するのだ。

凍てつく寒さに閉ざされた異国の地で、夢にまで見たこの温もり。
やすやすと腕の中に収まってしまう華奢な身体。意外なほどの曲線を描く身体のライン、熱い肌。
まるで何年もの間会えずにいたような錯覚に溺れ、ぼくは次第に力の抜けてゆく瑠璃さんの身体を夢中で掻き抱いた。


「…どうして、なにも言ってくれないの」


されるがままぼくを受け入れざるを得ずに喘ぐ唇に、強引に舌を差し入れる。
幾度も幾度も角度を変えて柔らかな腔内を犯しながら、睦言のような熱に浮かされて、さっきと同じ問いをさっきとは違う距離で繰り返すと、瑠璃さんは、今度こそぼくだけを見つめながら、今にも溶けて流れてしまいそうな瞳で途切れ途切れに強がった。


「言えるわけ…ない、じゃない。会議の場、んっ…なの、よ…」
「そんなことを聞きたいんじゃない」
「んっ…」


なお一層深く、噛み付くように口付けると、少し鼻に掛かった苦しげな声が、さらなる甘い響きでぼくの情欲を煽る。

こうしてされるがまま、ぼくの吐息に翻弄されている姿を見るのがたまらなく嬉しいのに。
なのに、気強く拒むことを知らないその姿はまた、焦りとも怒りともつかない名状しがたい熱を、ぼくの身体の中に呼び覚ますのだ。


瑠璃さん。あなたはいつもそうだ。
数えるほどに少ない共に過ごした夜に、そうやって口では「駄目だ」と言いながら、本当にぼくのことを最後まで拒み切れたことが一度でもあったかい?

このひとを、信用していないわけじゃない。
たとえどれほ遠く離れていたって、ぼく以外の男にあっさりと心を移してしまうような、そんなひとだと思っているわけじゃない。


だけど、ようやく一月(ひとつき)ぶりに会えたというのに、瑠璃さんは、顔色一つ変えることなく眉根一つ動かすことなく、職務用の顔を崩すこともないまま、あっさりとぼくに背を向けた。
あんな気強い態度で何食わぬ顔をしてぼくの前から去ろうとしたくせに、それなのに、こうしてちょっと強引に追い詰めれば、怖いくらいにあっさりと熱に流されてしまうこんな姿を見ていると、歓びよりも、名状しがたい焦りばかりが身体中を支配する。


いまこうして、あなたのこの柔らかな唇を犯しているのが、このぼくではなかったとしたら。
あなたはちゃんと拒み切れる?それとも―――……・


机上の空論が、この小柄な恋人に翻弄され続ける自分自身をまるで嘲笑うような激しさでぼくを煽り、ぼくは、嵐のように吹きすさぶ情欲に流されるがまま、すでに頼りなく力の抜けた細い膝に強引に割り込んだ。


「!!」


綺麗に曲線を描く腰の辺りを力任せに抱き寄せると、白い喉が、切なるぼくの願いを嘲笑うように淫らにのけ反ってみせる。


「いい加減に、してっ…!ここ、どこだと…」
「……まだ、そんなに冷静なんだね」


一ヶ月も逢えなかったのに。声さえ聴くこともできないでいたのに。
それなのにこうも理性に縋ろうとすることひとが、素直に憎らしい。


もっともっとめちゃくちゃにしてやりたい。
泣いて縋って、ぼくのことしか考えられなくしてやりたい。


人一倍熱に弱い肌は、もういつ崩れ落ちてもおかしくないくらいにグズグズに溶け始めている。ぼくには分かる。
それなのに、それにまったく無自覚なまま気持ちだけでぼくを突っぱねようとしたりして。

初めから勝敗の見えている葛藤にひとり気付かず、懸命にせめぎ合う瑠璃さんの、そのアンバランスな感じがひどく危うくて―――ひどくぼくをそそる。


こんなに好きなのに。なのにこんなにも憎らしい。

たとえこの人が、ぼくの望むどんな姿を見せてくれたとしても。
ぼくが心から満足し、安堵する日など永遠に来ないだろう。

本当に、自分でも空恐ろしくなるほど、ぼくはこのひとに囚われている。
目の前のこのひとだけに、心の全てを奪われている。


「っ!」


急速に苛立ちが募り、ふっくらと熟れた唇に思わず歯を立てると、瑠璃さんは少しだけ痛そうに眉根を揺らした。



「……このまま、ぼくの部屋へ」


唇を触れ合わせたまま掠れた声で囁くと、瑠璃さんは、もうすっかりトロリと理性が流れ出た瞳を、驚きで微かに見開いた。


「ダ、メよ……」
「どうして」
「まだ仕事が」
「理由にならないよ、そんなの」


小さな耳元で冷たく言い捨てながら、キッチリと着込まれた制服の白い襟にスッと指を入れ、僅かな隙間に舌を這わすと。


「ッ・・・!」


瑠璃さんは、大袈裟なほどビクリと身体を振るわせて、ぼくの肩の辺りに縋り付いた。


「早くしないと人が来る。あまり時間はないよ」
「…根性…悪っ…!」


ゆっくりと、ひとつ。
指先で一番上のボタンを外しながら、わざと人ごとのような冷めた声でそう言うと、瑠璃さんは心底怒ったような顔をして、潤んだ目でぼくを睨み上げた。

次の瞬間。

西日に染まる柔らかな身体からなけなしの力がふっと抜け、華奢な身体がしどけなくぼくにもたれかかってきた。


「…責任、とってよ……」


ぼくの胸にそっと伏せられた小さな顔が、ゆっくりと、勿体ぶるように緩慢な仕草でこちらを見上げて。
囚われたその瞳には、ついさっきまでとはまるで別人のような色がゆらゆらと揺らめいている。


思わず、ごくり、と、喉が鳴った。


すべてをぼくに委ねたように頼りない、華奢な身体を力の限りで抱き締める。


「……いいよ。瑠璃さんの気が済むまで、責任を取ってあげるよ」
「!!そう言う意味じゃっ…」


そんな顔をして、まだ往生際悪くそんなことを言うの。

「じゃあ、どういう意味なんだよ」
「あたしはっ、ただ、仕事の責任を…んっ…」

そんな話は聞きたくない。
それ以上は言わせまいと、懸命に言葉を紡ぐ頑なな唇を強引に塞ぐと、ふっくらと熟れた下唇に、もう一度歯を立てた。

昼間の顔とはまるで別人のような、こんなにも女の人の顔をするこのひとが愛おしくてたまらない。憎らしくてたまらない。

もし。

もしも、ぼく以外の男のことを、たとえほんの僅かでもこのひとがこんな瞳で見つめていたら。こんな息遣いで答えを返していたら。
ぼくは何をするか分からない。決して超えてはいけない境界線を、一足飛びに飛び越えて、軽々とこの手を罪に染めてしまうかもしれない。
何の躊躇いも葛藤も微塵も感じることなく、他人ごとのように冷静にそう思った。


「――― 十五分。それ以上は待てないよ」
「ちょっ!そんなっ…」


力の限りで閉じ込めていた柔らかな温もりからスッと身を離して、ぼくはあえて冷静な声でそう言った。

なおも往生際悪く反論しかけた唇に、親指を柔らかく押し付けると、瑠璃さんは怯えたように身体を揺らして、どこか呆けたような瞳でぼくを見た。


「―――じゃ。先に待ってるから」


短くそれだけを告げて、ぼくは魂の抜けたようにその場に立ち尽くす恋人に、あっさりと背を向けた。



******************************



絶対に、言う通りになんかするもんか。
確かにそう、思っていたはずなのに。


―― 十五分後。
結局あたしは、バカみたいに言われるがまま、士官寮にある高彬の部屋の、冷たいドアの前に佇んでいた。


―――ここまで来たんですもの、尻尾を巻いて逃げるのも負けたみたいでシャクじゃない。


手の平をグッと握り締め、腹立ちまぎれに思い切りドアを叩いてやろうと拳を振り上げて――――


結局、そんな勇気は出せずに、あたしはノロノロとした仕草で振り上げた手をもとに戻した。


噛み付くように口付けられた唇が、ヒリヒリと痛い。
ここしばらくの間聞くことのなかった、あの低く掠れた声に侵された耳の奥が、燃えるように熱い。


こうして高彬と恋人同士になって。
あたしが今まで見ていた高彬は、彼のほんの一部でしかなかったんだってことを、いま痛いほどに思い知らされている。


誰よりも涼し気な顔をして、誰よりも穏やかに笑うくせに。
執着なんて言葉、聞いたこともありません、みたいな顔をして、いつも澄まし返っているくせに。


こんなに激しい人だと思わなかった。
あの高彬があたしのことを・・・・こんなにも求めて来るなんて、思ってもみなかったのよ。

だけど、それを嬉しいと思う自分がいるのも誤魔化しようのない事実で、それが、あたしを混乱させる。

今だってそうよ。

仕事があるのは本当で、こんなことしている場合じゃないのに、なのに理性を裏切ってあたしはここに来てしまった。


『・・・・・・このまま、ぼくの部屋へ』


思わずゾクッとするような濡れた声で囁かれた言葉が、まるで呪文のようにあたしを縛って、こうしてここまで連れて来てしまった。

あたし、どうしてしまったのかしら。
どこかおかしいんじゃないかしら。

自分でも怖いくらいに、どんどん高彬に魅せられていくのが良く分かる。


あたしのことだけを見つめて欲しい。
あの声で、名前を呼んで欲しい。
大きくて綺麗なあの手で、優しく髪を撫でて欲しい。
形の良い唇で、口付けて欲しい―――

姿を見れば、いつだってそんなことを思ってしまう。

どんどん欲深くなる自分をどうしたらいいか分からなくて、途方にくれてしまって―――だから嬉しかった。
高彬が、一ヶ月ものあいだ欧州へ出張してくれたのが。


付き合い始めてまだほんの僅か。
それなのに、こんな日の浅いうちに一月(ひとつき)もの長い間離れ離れになるのは、たまらなく寂しい。不安でたまらない。
当然のように心のほとんどを占めていたのは、そんな感情だった。これは本当。

だけど、離れ離れになっているその間に、あたしは今までのあたしを取り戻せる、そうも思ったのよ。
取り戻さなきゃ、本当に自分が自分でいられなくなってしまいそうで―――怖かったから。

ついさっきまで、あたしは、たとえ辛うじてであったとしても元の自分自身を取り戻せた、そう思っていた。
高彬の顔を見ても、あの声で名前を呼ばれても、高彬を思う気持ちに飲み込まれることなく、自分自身を保ったまま隣に立てる、そう思っていたのに。

なのに、あの瞬間。
広い会議室で久しぶりに顔を見た瞬間に、あたしは、そんな努力はなんの意味もなかったことを一瞬で思い知らされてしまった。

本当に久しぶりに姿を見ることができて、声を聞くことができて、すぐそばで、高彬の息遣いを熱を、感じることができて。
自分でもどうにかなってしまうんじゃないかと思うほど嬉しくて。
同時に、離れていたあいだ、どうにか積み上げて来た自分自身の砦があっけなく崩れ去る予感にどうしたらいいのか分からなくて、だから逃げるように背を向けたのに。


なのに。


もし、いま、目の前のこの扉が開いたら、そしたら、あたしはまた―――――



「・・・・―――瑠璃さん」



―――きっとまた、囚われてしまう。
この瞳に。あたしの名前を呼ぶこの声に。

今まで以上に強く、そして底なしに深く。


「遅かったじゃないか・・・・」

高彬は、細く開けたドアにもたれかかるような格好で、物憂げにそういった。
斜めに傾げた顔を無造作に覆う前髪の隙間から、切れ長の瞳が見え隠れする。
倦んだように熱を帯びた鋭い双眸。その奥に、濡れた炎が見え隠れする。

少しだけ喉に絡んだ、低い声。
長い指が、音もなくすっと、片頬に伸びる。


・・・・・・ダメ。いま目を閉じたら、絶対に、駄目。


理性は、確かにそう警鐘を鳴らすのに。


「…来て。瑠璃さん」
「あ…」


なのに、あたしの身体は、そんな意思とは裏腹に、まるで何かに導かれるように、高彬の細身の影がしどけなく寄りかかるドアの向こうに、吸い込まれるように歩み出してしまったのだった・・・・



――pixiv(R18)or 九条別邸に続く――




お久しぶりです!玉響女です。
もうすぐ4月も終わりですね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

久々の更新は、これまたお久しぶりの『ぶっとびパラレルシリーズ』です♡
先日、『intoccbileが一番好き』という方がコメントを下さいまして(Iさま、ありがとうございます♡)
「新作がアップされると一週間くらい幸せな気持ちになれます!」と、嬉しいことを書いて下さっていたのです!

そんな感想を頂けて、こちらこそ幸せな気分で一杯にして頂きました!(感涙)

ということで、ちょっと短いですが続きです。
更にこの続きは、原液のまま(笑)九条別邸&pixivのR18限定にアップする予定です。
とは言っても、いつも通り、大した描写じゃありませんが(苦笑)
そちらにアップしましたら、またお知らせしますね♪
しばしお待ちを☆

コメントをお寄せ下さる皆さま、いつも本当にありがとうございます。
また改めてお返事をさせて頂きますので、気長にお待ち下さいね♪


ここまでお読み下さって、ありがとうございました。
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玉響女(たまゆらめ)

Author:玉響女(たまゆらめ)
IMG_4931.jpg

初めまして。
管理人の玉響女と申します。

氷室冴子先生著、『なんて素敵にジャパネスク』の高彬と瑠璃の二次小説(二次創作)を綴らせて頂いています。
お楽しみ頂けたら、お気軽に拍手やコメントを頂けると、とても嬉しいです。

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